副業解禁に踏み切れない企業の実体
2018年の1月から政府が働き方改革の一環として副業解禁に向けて動き出して1年半が経ちます。
正社員として働いている労働者の関心ばかりが高まる一方で、企業はなかなか解禁へは動き出せていないのが実情です。
政府は働き方の多様化を進めています。また労働者の副業への関心は88%と高いです。しかし、副業解禁に取り組まない企業は8割となっています。その理由は何なんでしょうか?
なぜ企業は副業解禁に取り組まない?
約8割の企業が副業解禁に取組む予定はないとの回答です。では、その理由とは?
1.業務に専念してもらいたい
2.疲労による業務効率の低下が懸念される
3.情報の漏洩の恐れがある
4.労働管理・事務管理が複雑で対応できない
5.どんな人材が来るかわからず、費用対効果が不明
1と2は企業の生産性に対する理由です。
副業により労働者の負担が大きくなり、その結果自社の生産性の効率が落ちると考えるからです。
3と4は管理や経理上の理由です。従来以外での雇用形態には労務管理・法の知識が必要になります。また事務処理も複雑になり、即戦力を求める企業にとってはどんな人が来るか分からないのはリスクが高いだけなのかもしれません。
企業にとって、兼業や副業をする人材の具体的なイメージが想像できないことが懸念や不安になっています。
今後の副業の解禁や推進の留意点!
上記の理由で企業が取組まない理由はわかりましたが、人材における今後の方向性として無視はできない課題です。
政府が働き方改革の一環として盛り込んだのは、企業が抱える人材の問題があるからです。労働人口は減り、人材育成や生産性の向上、人材の質や、人材の獲得という課題はどの企業も共通です。
今後取り組んでいく企業が留意していく点は少なくありません。
1.競合他社での兼業・副業は控える
2.過重労働にならない範囲にする
3.本業との相乗効果があるような仕事内容にする
4.勤務時間を考慮する
卸売業や不動産業、金融・保険業、学術研究・専門・技術サービス業、その他は、情報漏洩や秘密保持が必要です。
建設業や製造業、小売業・飲食店、運輸業、情報通信業、サービス業、医療福祉業は、過労の問題に留意する。
農林水産業は、生産性を高められる内容にする。
など企業と労働者が互いにメリットのある内容にすることです。
副業や兼業における課題
働き方改革には多くの企業や労働者に課題を与えています。
副業に関しても課題は多くありますが、それらを一つ一つクリアにすれば誰でも多様化した働き方をできるという事です。
企業にとっての課題は3つ
1.マッチングの困難さ
2.受け入れ態勢の未整備
3.兼業・副業への偏見
人材要件の個別性が高く人材獲得へのインフラが整っていない。
確保できる人材イメージが具体化されておらず、依頼する業務が限られてしまう。
起業秩序が乱されると懸念し、社員の帰属意識が足りなくなるのでは?とかプライドが高く、片手間で仕事する。といったマイナスのイメージがある。
今後マッチングサイトやインフラは市場原理から拡大し、整備は進むと考えられるが、企業内部でも人材イメージを明確化して人材に合わせた業務内容にするなどし、社内外の意識改革をおこない実際に起きてない弊害は払拭していくのが今後の課題となります。
副業は今後どうなる?
自社社員でない人間が、会社内を出入りし働いている姿に抵抗があるのが現状です。派遣社員にですら抵抗を感じる人もいるでしょう。
しかし、人口減少の加速化はすすみ、兼業や副業の受け入れと、人材不足の深刻化のどちらかの選択は迫られるでしょう。
繁忙期だけ受け入れてみたり、小時間からスタートするなどの仕組みや仕掛けを作り心理的ハードルを下げておく。必要な労働時間の規制や情報取得を同時に行い、弊害に対する啓発活動を行うことで負荷の軽減をはかることで受けれやすい態勢が整っていきます。
企業は多様な人材が出入りすることで活気にあふれ、外部から持ち込まれる労力と才能により、自社社員の負担は減り、生産性の向上やスタートアップが期待できます。
労働者は異なる環境下で働く事により、新しい発見や成長ができ、自身のスキルアっプにつながり、労働時間のコントロールで収入アップに期待できます。
上記は理想像過ぎるかもしれませんが、決して不可能ではなく、実際にお互いにとって良好な関係で副業・兼業されている方は数多くいます。ただし、時間や健康の管理は個人がするべきです。自身の健康管理ができない人には副業は向いていないともいえます。またどのような気持ちで臨むのかをイメージしてそれに合った働き方をするべきです。私自身ダブルワークの経験は多数ありますが、いい気持ちの切り替えになり、まかない飯があり食費の節約につながり、収入も増えて、得られる情報量が格段に上がり休日に遊びに行く機会が増えたり、生活にメリハリがついた私にとっては相乗効果は高かったといえます。
週の内3社4社と日替わりの出社も今後はあたりまえになるのでしょうか。